アドボカシー活動
市の教育委員会 訪問 2015年11月
先日、富山市教育委員会担当の方と、お話をさせていただきました。
2015(平成27)年4月に文部科学省から出された通知を受けての取り組み状況や、学校現場での児童生徒の皆さんへの支援体制などをお聞きしました。
詳細につきましては、ブログをご覧ください。
県庁訪問 '15/05/29
2015年5月29日、「富山県生活環境文化部 県民生活課」を訪問し、人権啓発を担当されておられる方と面会してきました。
そして、
・県内の性的マイノリティに関する取り組み
・他の自治体の取り組み
などについて、やり取りをしてきました。
資料「人権擁護の正しい理解のために」 (平成27年3月 富山県)
をいただきました。
この冊子は、
Ⅰ 基本的人権
Ⅱ 人権啓発・人権教育
Ⅲ さまざまな人権問題
Ⅳ 参考資料
の構成になっています。
まず、「Ⅳ 参考資料」から部分的に引用させていただきます。
2002(平成14)年3月 国の「人権教育・啓発に関する基本計画」が策定されました。
それを受けるかたちで、
2007(平成19)年3月 「富山県人権教育・啓発に関する基本計画」が定められました。
その中には、項目の「(13)その他」 として、
「同性愛者やホームレスへの偏見や差別……(中略)なども大きな社会問題となっています。」
と記述されました。
2014(平成26)年3月、富山県において、「人権に関する県民意識調査報告書」(PDF)がまとめられました。
【問22】において、「少数派である性的指向(同性愛、両性愛)を持つ人や性同一性障害(生物学的な性とこころの性が一致しない者)」に関する人権問題の意識調査も行われています。
そして、「Ⅲ さまざまな人権問題」の中の独立した項目として、「性的指向に関する問題」と、「性同一性障害に関する問題」が取り上げられました。
本文を引用します。
14 性的指向に関する問題
性的指向とは、人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念を言います。具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛、同性に向かう同性愛、男女両方に向かう両性愛を指します。
同性愛者、両性愛者の人々は、少数派であるがために正常と思われず、場合によっては職場を追われることさえあります。このような性的指向を理由とする差別的扱いについては、現在では、不当なことであるという認識が広がっていますが、いまだ偏見や差別が起きているのが現状であり、これらの人々の人権擁護を図るための啓発活動を推進する必要があります。
15 性同一性障害に関する問題
性同一性障害とは、生物学的な性(からだの性)と性の自己意識(こころの性)が一致しないため、社会生活に支障がある状態を言います。性同一性障害の人々は、社会の中で偏見の目にさらされ、昇進が妨げられたりするなどの差別を受けてきました。
平成16年7月に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が施行され、この法律により、性同一性障害者であって一定の条件を満たすものについては、性別の取扱いの変更の審判を受けることができるようになりました(平成20年6月に改正法によって条件を緩和)。
性同一性障害を理由とする偏見や差別の解消を目指して、様々な啓発活動を推進する必要があります。
以上のように記述されていました。
今後の啓発活動の推進を期待したいところです。
県への質問 '15/05/13
平成27年4月30日付けで、文部科学省より、各都道府県の教育委員会などへ向けて
「性同一性障害に係る児童生徒に対するきめ細かな対応の実施等について」が通知されました。
<参考>(文部科学省の人権教育に関するページ)
・「性同一性障害の性別の取扱いの特例に関する法律」(平成15年)
・「児童生徒が抱える問題に対しての教育相談の徹底について」(平成22年4月23日)
・「学校における性同一性障害に係る対応に関する状況調査について」(平成26年6月)(PDF)
その通知に関連して、富山県へ質問を行いました。(平成27年5月13日)
○富山県経営管理部広報課長からの回答です。(平成27年5月14日)
<質問1>
平成25年度において、県内の小中高校で確認された暴力行為、いじめ、不登校、中途退学者のうち、性同一性障害や性的マイノリティが原因だとみられるものは何件ありましたか。
(回答)
県内公立小・中・高等学校の「暴力行為・いじめ・不登校」等については、文部科学省が実施する調査に従って状況を把握しておりますが、「性同一性障害や性的マイノリティ」が原因とするものであるかどうか等については調査しておりません。
<質問2>
同様に、学校に対して児童生徒や保護者から配慮を求められたことは何件でしたか。
(回答)
県教育委員会では把握しておりません。
<質問3>
県内教職員の資質向上の取組として、性同一性障害に関する研修は実施されていましたか。今後、性同一性障害や「性的マイノリティ」に関する研修を行う計画はありますか。
(回答)
「性同一性障害」については、人権教育に係る研修の中で取り扱い、専門家との連携を含めてきめ細かな対応に努めることの大切さを伝えています。今後の対応については、国の動向も見ながら検討してまいります。
<質問4>
学校とPTA、地域が連携して性同一性障害や「性的マイノリティ」に関する勉強会開催を検討される予定はありますか。
(回答)
質問3の回答と同様です。
<質問5>
性同一性障害や「性的マイノリティ」で悩む児童生徒や保護者の相談窓口を設置されるご計画はありますか。
(回答)
県教育委員会では、教育事務所に相談窓口や相談電話を設置し、性同一性障害も含め、児童生徒や保護者からの各種相談に対応しています。
県教育委員会では、文部科学省からの、性同一性障害に係る児童生徒に対する具体的な配慮事項に関する通知を受けて、市町村教育委員会及び各学校に対して、性同一性障害に係る児童生徒に対する教職員の理解を促進するとともに、適切な対応を行うよう平成27年5月13日付けで通知を発出したところです。
今後も、悩みを抱える児童生徒の支援に努めてまいりますので、ご理解いただきますようお願いします。
以上です。
<要点>
・各学校では、毎年度、いじめ等の件数は調査していますが、その原因については、文部科学省は調査していません。
・また、各学校で原因や状況は把握していたとしても、県教育委員会としての情報共有は行っていないようです。
・同様に、各学校へ性同一性障害などに関しての配慮を求められたかどうかについて、県教育委員会としては把握していないようです。
・性同一性障害に関する人権教育研修は行ってきたが、今後、「性的マイノリティ」を含む研修や勉強会は、国の動向を見ながら検討するとのことです。
・性同一性障害や「性的マイノリティ」を含めた相談窓口はすでに設置している。
・県教育委員会では、文部科学省の通知を、市町村教育委員会及び各学校に伝達している。
各学校でのきめ細かな対応を期待したいところです。
また、教職員やPTA等との連携も含めた「性的マイノリティ」に関する理解の促進に努めていただきたいと思います。