学校でできることは?

LGBT(性的少数者)当事者へのアンケートによれば、過半数を越える人たちが、自身のセクシュアリティを中学生くらいまでに自覚しています。

文部科学省は2016年4月に教職員向けの周知資料を出しましたが、多様な性についての対応等はまだ始まったばかりと言えます。このページでは、子どもたちや学校、教育に関して私たちが行った啓発事業の紹介や、皆さんへお伝えしたいことをまとめていきたいと思います。

水彩絵の具

★学校において取り組めるものには何があるか、一緒に考えていきましょう

 性のあり方に違和感があったり悩んでいる児童生徒が、安心して学校で学べるようにするために、何ができるでしょうか? 皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

​(下記の事項は、すべてを網羅しているわけではありません。よりよい方法や対応を探していきましょう)

①「知る」

 性のあり方や性の多様性を知ることが、最初の一歩です。

・性のあり方は多様である

 男・女の異性愛だけでは表現できない、多様な在り方が存在します。

(国際的にも、一人ひとりの多様な性のあり方を尊重していこうとする動きが進んできています)

・自覚する時期

 小学校入学前の頃から自覚しているお子さんもいます。

・どれくらいの割合?

 性的少数者の割合は、人口に対して3~10%程度とされます。どの学校、どのクラスにもいてもおかしくありません。

・身近にいないのはなぜ?

 性的少数者への偏見や、理解がないこと等により、当事者は声を上げづらい状況にあります。

​ かといって、どの子が当事者かと詮索したり、決めつけないようにしてください。

・配慮が必要なの?

 「レズ」「ホモ」「キモイ」などの差別的な発言があったり、学齢期に正しい知識を得られないことで、性的少数者の子どもたちは自尊心を育みにくい状況にあります。

 戸籍の性別による不便さや困難を抱える児童生徒は、学校での男女分けや、らしさの当てはめがつらく感じることがあります。

(例:制服、水着、トイレ、髪形、名簿、呼称、持ち物の色、男女分けの授業や部活動、健康診断、宿泊学習や修学旅行、卒業証書の名前など)​

 それらの結果、からかいやいじめ、不登校、自傷行為、自殺念慮などに至るケースもあります。

・LGBT、SOGIとは?

 LGBTは、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの英語表記の頭文字をとったものです。性的少数者の総称や代表として使われる言葉です。

 SOGIは、Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)から作られた用語です。「LGBTと、そうではない人」のように、少数派、多数派と分けるのではなく、一人ひとりがもつ性の要素(性的指向や性自認など)を尊重していこう、私たち全員が多様な性のあり方の中に存在しているなどの考え方で使われるようになってきています。

・子どもたちの気持ちは?

 学校で正しい知識が得られないと、自分は異常なのかな、変なのかなと思うお子さんもいます。また、自分の性別や好きになる人についての違和感など、性のことは他の人には相談しにくいものです。子どもたちからの相談がなくても、普段から性の多様性を肯定する環境づくりをしていきましょう。

②「変える」

 私たちの意識や言動、学校環境を変えていきましょう。

・研修会等で周知、共有する

 教職員やPTAなどの集まりや研修会等で、SOGIに関する正しい知識を得る機会を作りましょう。講演を行っている専門家や当事者団体などから講師を招くことも可能です。

・「学校いじめ防止基本方針」

 各学校のいじめ防止基本方針に、教職員への研修や、相談対応方法などを盛り込みましょう。

​(県内自治体 いじめ防止基本方針策定状況

・保護者へ伝えよう

 保健だよりやクラスからのお知らせのプリント等で、性のあり方は多様であること、お子さんが性のあり方に違和感をもっていた場合などの対応例などを伝えましょう。

・校内の啓発

 啓発ポスターを掲示したり、保健室や職員室の前にレインボーのマークを掲示して、互いの違いを尊重する気持ちを育み、子どもたちが先生に相談しやすい環境を作りましょう。

​ レインボーのステッカーを作りました。ご希望の方はご連絡ください。

・日常的なことで

 少数者を揶揄する発言や差別的な言動があったら、それで傷つく人がいることを伝えましょう。

 ニュースなどで取り上げられた話題を、肯定的に児童生徒へ伝えましょう。

 「研修会で性の多様性やLGBTについて勉強してきたよ」と児童生徒に伝えることで、先生が”性の多様性を知っている、先生に相談してもいいんだ”と知らせることができます。

・図書

 各クラスの図書や図書室、保健室などに、性のあり方や多様な性に関する本を置いておきましょう。児童生徒向けの図書や絵本も多数出版されています。

​ レインボーは~と通信vol.3やvol.7もご覧ください。

・書類の性別欄

 学校の書類に性別欄があることでストレスを感じる児童生徒がいます。男女分けの名簿を見直したり、書類の性別欄の必要性を点検し、自由記述欄にする、不要なものは削除するなどの配慮を検討しましょう。

⇒令和3年から、高等学校等への入学願書などの性別欄が削除されました。

・トイレ

 多目的トイレがある学校は、児童生徒が使えるようにしておきましょう。また、事情がある場合は職員用トイレを使ってもよいなどのルールについて、校内で検討してみましょう。

・制服

 性別の違和感のために制服を着たくない児童生徒がいた場合、どのような対応が考えられるか検討しておきましょう。

(例:女子生徒もスラックスを着用できるようにする、体操着での登校を可能にする、学校に着いたら体操着に着替えてもよいことにする、希望する制服を着られるようにする、男女共通の制服を採用するなど。性別の違和感を持つ児童生徒だけの特別な配慮の実施については、全体の均衡をみる点からも、慎重な検討が必要と考えられます)

令和3年度、県立高校の女子生徒の制服にスラックス着用を導入している学校が8校、令和4年度に11校になる見込み

⇒富山市内の公立中学校26校うち、女子生徒の制服にスラックスを選べる学校が16校、残り10校も2022年度以降の導入を検討

・校則

 男女別の髪形や身だしなみの規定に苦痛を感じる児童生徒がいます。

 また、校則が公開されていないことで、入学したい学校の校則がわからず、入学をためらったり、不安に感じる児童生徒がいます。

⇒髪の毛の長さや髪を結ぶ場合の規定について、男女の区別をなくしている学校があるなど、見直しを進める学校が増えている

​⇒県立高校から中学生への校則に関する情報発信のあり方については、県立学校長の代表による協議を開催するなどして、検討を進めている

・相談があった時は

1.児童生徒の話に、耳と心を傾けましょう。

(否定的な言動や決めつけ、らしさの当てはめ等は適切ではありません。「気のせいだよ」「そのうち治るよ」「この学校にLGBTはいない」などの言葉も子どもたちを傷つける可能性があります)

2.「話してくれてありがとう」と伝えましょう。(勇気をもって伝えてくれています)

3.何か困っていることはないか聞きましょう。(すぐに対応が難しいものは、一緒に考えていく姿勢を示しましょう。性自認や性的指向の違和感の強さや感じ方等は変化していく可能性もあります。また、一人ひとり求める対応も異なります。その都度、適切な配慮を検討する必要があります)

4.親や家族には話しているのか、受容されているのかを確認しましょう。(受容されていない場合は、安易に親や家族へ連絡、相談しないようにしましょう)

5.そのほかに、友達など、誰に話しているかも確認しておきましょう。

アウティングに注意:本人の許可なしに、相談情報を漏らさないようにしてください)

6.当事者のつながりが欲しい方には、地元の団体の情報を教えてあげてください。

(レインボーハート富山でも、当事者の交流会を行っています。→交流会フライヤー

お問い合わせいただければ、講演等に伺わせていただきます。

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★令和元年度 射水市公募提案型市民協働事業

・射水市内の小中学校の先生方を主とした研修において、お話させていただきました。

・掲示用ポスターを作成しました。​

​事業の取り組みの様子は、富山福祉短期大学様のホームページでご覧出来ます。

★高等学校生徒指導連絡協議会

・県内の公立・私立高校と特別支援学校の先生方へ、「教職員が性の多様性を理解することの大切さについて」と題して、講演をさせていただきました。

・講演記録​「富山県高等学校生徒指導参考資料49」(平成30年3月)参照

・講演後アンケート結果 ⇒ こちらのページをご覧ください。​

★小中学校向け啓発事業

【富山市公募提案型協働事業】(平成28年度、29年度)

「学校における性的マイノリティ(LGBT)理解促進事業」

平成29年度の取り組み(富山市の報告ページはこちらです)

平成28年度の取り組み(富山市の報告ページはこちらです)

【地元当事者の声(アンケート結果)】

2016アンケート調査結果​ (レインボーハート富山調べ)

レインボーは~と通信vol.2 (アンケート結果のまとめ)

【行政、自治体関連】

富山県いじめ防止基本指針の改訂(平成29年6月)

 特に配慮が必要な児童生徒に「性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒」が記載

いじめの問題に対する施策ページ(文部科学省)

 いじめの防止等のための基本的な方針 平成25年10月11日 文部科学大臣決定(最終改訂 平成29年3月14日)

​「性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するいじめを防止するため、性同一性障害や性的指向・性自認について、教職員への正しい理解の促進や、学校として必要な対応について周知する。」(別添2 3ページより)

性同一性障害や性的指向・性自認に係る、児童生徒に対するきめ細かな対応等の実施について(教職員向け) (文部科学省)平成28年4月