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困っていること

性的少数者の社会的困難
・誤解や偏見があること
・正しい情報が伝えられていないこと
これらの原因により、LGBTなどの性的少数者の方は、生活上、困っていることがあります。
主なものとして、
「自分を偽らなければいけない」
「周囲の視線が気になる」
「人間関係が築けない」
「将来の不安」
以上の4つを挙げてみました。
その結果、不登校やいじめ、離職、うつや自傷、自殺念慮などを経験する人もおられます。
性的少数者は見えにくい存在であることから、その困難さも表面化しづらい現状があるといえます。
この章では、LGBTなどの性的少数者、性的マイノリティの人たちがどんなことに困っているのかを知っていただき、私たちひとりひとりが何をしていけるのか考えていきます。
カミングアウトの難しさ
 
カミングアウトとは、自分の秘密を誰かに伝えることです。
性的少数者の皆さんの多くは、自分の性的指向(誰が好きか)や性自認(心の性)などを誰かに伝えることの難しさを感じています。
特に、自分の親へのカミングアウト率が低いというデータがあります。
親が子を想う気持ちとして、「子どもには幸せになってほしい」という願いがあると思います。
しかし、その”幸せ”とは、多くの場合、”異性と結婚して子供を授かり、家庭を築く”ということではないでしょうか。
性的少数者の人たちは、このような親の気持ちや期待が、逆にプレッシャーになります。
「同性が好き」って伝えたら、どう思うだろうか。
「自分は女性(もしくは男性)じゃなくて、男性(もしくは女性)だ」と言ったら、理解してくれるだろうか。
 
・性的少数者であるがゆえに、異性と結婚ができない。
・孫の顔を見せられない。
・親に嘘をついているつらさ。
・余計な心配をかけたくない。
・これからも親子として関係を続けてくれるだろうか。
身近な人だからこそ、伝えることに不安や葛藤があります。
 
 
親・家族の気持ちは
 
もしあなたのお子さんが性的少数者だったら、どう思いますか? お子さんからカミングアウトされたらどうしますか?
 
きっと驚かれると思います。
頭の中が真っ白になるかもしれません。
 
「自分の育て方が悪かったのだろうか」
「そんなのは気のせいで、すぐ治るはず」
「世間様に知られてはいけない」
いろんな想いが湧きおこるかもしれません。
しかし、本人がこれまでずっと悩んできたことにも想いを馳せてみてください。
世間の誤解や偏見の中で、苦しんできた当事者もたくさんおられます。
もし、お子さんからカミングアウトされたとしたら、それはあなたを信頼していることでもあります。
まずは、頭ごなしに否定することなく、相手の気持ちを受け止めてあげてください。
​話してくれたことに対して、感謝の気持ちを伝えてください。
そして、子にとっても親にとっても、カミングアウトで終わりではありません。そこからお互いの気持ちを整理し合いながら、対話をしながら、それぞれの幸せな人生に向かっての歩みが、また始まってゆくのです。
トイレの葛藤
 
トランスジェンダーの人は、「トイレに行く」ということだけでも悩みを抱えている人がいます。
ある調査によると、トランスジェンダーの人の職場における困難として、排泄障害を挙げた人が27%にものぼりました。
この困難はどのようなものなのでしょうか。
例を挙げて考えてみましょう。
例えば、『体が女性で心が男性』の人の場合
女性用トイレでは、異性の人が周りにいるという中でトイレをしなくてはなりません。
また、男性用トイレでは、自分が女性だと思われたらどうしようといった不安があります。
多目的トイレを利用すると、かえって目立ってしまう。
皆さんはこのような気持ちを想像したことはありましたか?
トイレといった、ごく日常的な事柄においても、苦痛を感じている人がいます。
したがって、
 
なるべくトイレに行く回数を減らせるように水分摂取を控える
同級生が使うトイレは入れないので遠くのトイレまで行く
会社のトイレではなく近くのコンビニまで行く
そのような苦労をして毎日の生活をしなければならない人がいます。​とても切実な問題です。
わたしには何ができるかな
 
ここまで、LGBTなどの性的少数者、性的マイノリティの人たちの困難なことを見てきました。
もしかしたら、「何か協力したい!」と思われた方もおられるかもしれませんね。
(そのような方を、支援者、理解者という意味でアライと呼ぶことがあります)
そのような人たちが、何か協力できることはあるでしょうか?
いくつか例を挙げてみました。
知る(理解の促進)
・性的少数者が皆さんの身近にいることを知る
・性的少数者に対する誤解・偏見をなくす
(例)
「関連図書を読む」
「関連映画を見る」
「講演会に参加する」
社会の中には、性的少数者への誤解や偏見がまだまだあります。それを少しずつでも減らしていくことが大切だと思います。
対話する(知識⇒経験)
・実際に性的少数者の人に会い、互いを知る
(例)
「関連のイベントに参加する」
「レインボーグッズを使う」
実際に性的少数者の人に会っても、何を話せばいいかわからない、壁を感じるという方もおられるでしょう。
でも、性的少数者の人に会ってみると、
「自分たちと何ら変わらない人たちだ」
そんな印象をもつ方もいると思います。
皆さんと性のあり方は多少違うかもしれませんが、みんな、皆さんと同じ人間なのです。
腫れものを扱うような感じではなく、趣味の話や将来の話、悩んでいること、いろんな話をしていただければと思います。
​わからないことは、素直に、失礼のない形で聞いていただければよいと思います。
※ただし、アウティングには気をつけてください。
アウティングとは、本人の了承なしに、その人の秘密を他の人に漏らすことを言います。
特に本人のセクシュアリティ(性自認や性的指向など)を第三者に勝手に漏らすことは、その人の心理的な不安を増大させること、家庭や学校、職場などの居場所を失わせることにもつながるなどの可能性があります。
 
​基本的なこととして、お会いした人の個人情報は本人の了承なしに漏らさないことが大切だと思います。
学校や職場で
 
皆さんの学校や職場で何かを変えていくには、どんな方法があるでしょうか?
いくつか例を挙げてみました。
伝える(理解の促進)
・多様な性や誤解・偏見について知ってもらう
・同僚や友人などの理解者、支援者を増やす
(例)
「啓発パンフレットの配布」
「啓発ポスターの掲示」
「社内や学内の勉強会、研修会を実施」
学校や職場で、性的少数者に対する配慮を進めることは、性的少数者の人だけでなく、いろんなマイノリティの方にとっても意味のあることだと思います。
学校にも職場にも、お客様にも性的少数者が「いる」という認識を共有できれば、何かを変えていく一歩になるのではないでしょうか。
変える(知識⇒実践)
・性的少数者をはじめとした様々な人たちが過ごしやすい学校、職場となるように、仕組みやルールを変える
(例)
「関連図書の設置」
「校則や社則、福利厚生などの見直し」
「制服・服装や色分けの自由選択」
「書類の不要な性別欄を削除」
「誰でも使えるトイレの設置」
「相談窓口の設置」
仕組みや設備を変えるということは時間も費用も労力もかかります。
関連図書を置く、ポスターを掲示するといったことから始められるのもよいかもしれませんね。
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